仮想通貨を現物出資して合同会社を設立する方法、メリット・デメリット

会社を設立する場合、金銭での出資が通常です。

ただ、不動産や建物などの現物を出資して設立することも可能です。

もちろんビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨でも可能です。

今回はお客様から質問の多い「仮想通貨を現物出資して会社を設立する方法」と、そのメリット、デメリットを記事にします。

実際に私が設立した合同会社(ビットコインを現物出資)を例に説明します。

合同会社とは?

日本であまり馴染みのない合同会社は、以下の特徴があります。

  • 出資者=株主ではなく、「社員」と呼ばれる。社員は出資金額に関係なく平等な発言権を持つ
  • 定款認証不要
  • 現物出資の場合検査役による検査不要
  • 株主総会、取締役等の機関不要
  • 決算公告不要
  • 定期的な役員変更登記不要

このように、組合的な規律による自由な運営が可能、設立前・設立後のコストが低いのが特徴です。

従って迅速な意思決定のできる1人経営や子会社、合弁会社などに向いていると言われています。

個人の所得が増えて税金負担が重くなってきたときにひとまず法人を設立する、といった方にも有効です。

合同会社設立方法

「会社設立freee」のススメ

最短で、コストを抑えて会社を設立するには、クラウド会計freeeの「会社設立freee」で合同会社を設立するのがお勧めです。(もちろん株式会社も設立できます)

必要事項を入力するだけで、定款など登記に必要な書類を作成できるサービスです。

既にfreeeのアカウントがあればそちらを使って作成することができます。

こちらで決めるべき事項は以下のとおりです。

  • 会社の名称/商号
  • 会社の住所
  • 代表者
  • 事業内容
  • 資本金
  • 決算期
  • 公告の方法

定款の認証方法は迷わず「電子定款」を

定款を作成する際に「電子定款」(PDF化された定款)と「紙の定款」が選べますが、特別な理由がない限り電子定款を選びましょう。

紙での提出は印紙代4万円が余計にかかってしまいます。

電子定款を作成する際には、以下のソフトが必要になります。

  • 電子署名を入れるためのソフト(Adobe Acrobatなど)
  • 定款を電子化するためのソフト(法務省の申請曜総合ソフトとPDF署名プラグイン)
  • 電子証明書を利用するためのソフト

以上のソフトがない場合、行政書士に頼むことも可能です。

会社設立freeeの場合、行政書士への代行手数料が5,000円(会計freeeの年額契約をする方は無料)ですので、上記のソフト代や労力を考えると依頼してしまったほうが良いかもしれません。

私も今回行政書士さんへ電子定款をお願いしました。

現物出資の場合に必要となる定款の記載

通常の金銭出資であれば、定款の記載は以下のとおりとなるのですが、

現物出資の場合には出資した財産の表示が必要となります。

今回、物理的な財布であるハードウォレットの中にあるビットコインを現物出資することにしたのですが、

その場合の書き方は行政書士さんとやりとりをし、以下のとおりとなりました。

現物出資で設立する旨を最初に書き、別紙で出資の目的たる財産の詳細を記載する方法です。

ハードウォレットを特定できるナンバー(シリアルナンバー)も記載しました。

 

あくまで資本金は円ベースなので、定款作成時のレートで換算して仮想通貨の数量を示す必要があります。

仮想通貨はいつ時点の価格か?

現物出資した仮想通貨の数量を記載するには、現物出資時(定款作成時)での円の価格が必要となります。

こちらは普段利用している取引所のレートを利用して問題ありませんでした。

私の場合、普段利用しているbitFlyerのビットコインリアルタイムチャート表を利用しました。

定款作成時の4月29日のレートをスクリーンショットで残しています。

このような資料は現物出資時の仮想通貨の価格を示す大事な証拠になるので定款と一緒に保管しておきましょう。

(後日行う個人の確定申告にも必要になります)

現物出資の場合の登記申請に必要な書類

現物出資の場合には、通常の登記申請に必要な書類に加えて「現物資産の給付があったことを証明する書類」が必要になります。(「財産引継書」など、名称は様々なようです。)

仮想通貨の現物出資の場合には、下記のような簡単な書類で通りました。

注意点としては、定款に記載した出資財産と同じ内容にするということです。

 

以上、仮想通貨を現物出資して合同会社を設立する方法を簡単に説明しました。

次にメリット・デメリットについて説明します。

仮想通貨を現物出資して合同会社を設立するメリット

スピード

最短で「とにかく会社を設立したい!」という方には良い方法でしょう。

私の場合ですが(会社設立freeeを使うことを前提)、以下のとおり9日程度で合同会社ができました。

(うまくやればもう少し早くできると思います)

(※あくまで100万円相当の仮想通貨を現物出資して合同会社を設立した場合。会社形態(株式会社など)、出資金額・内容によって異なります)

コスト

今回、合同会社設立にかかったコストは以下のとおりで、8万円ちょっとでした。(年間で会計freeeを契約したので行政書士費用も0でした)

  • 会社印鑑代 2万円
  • 登録免許税 6万円
  • その他CD-RWなど雑費 数千円

通常の株式会社が資本金+諸費用20万円ということを考えると、現物出資による合同会社設立はコスト面でも有利です。

(ただしデメリットに書いてある納税資金の準備は必要です)

また、不動産などと違い仮想通貨は名義変更という概念がなく、登録免許税、不動産取得税などもかかりません。

利確したくない場合

個人で持っている仮想通貨をどうしても利確したくない等の理由がある場合には、法人として継続して利用できるメリットがあります。

(会社設立後は、個人口座から法人口座へ移すなど、個人の所得と法人の所得とを厳密に区分することは必要です)

仮想通貨で経費を支払える

個人で仮想通貨を使用した場合、使用時に値上がりしていれば所得税が課されます。

一方法人の場合には仮想通貨を経費で使用した場合には値上がり益に課税される点は同じですが、その時点の価格で経費にもでき所得から差し引くことができるので、税金計算上有利です。

(個人でも事業として行えば経費として認められます)

仮想通貨を現物出資して合同会社を設立するデメリット

出資時に個人に課税される

個人と法人は別人格となりますので、個人が仮想通貨を法人に現物出資した場合には、「一旦仮想通貨を売却(利確)した」ものとして取り扱われ、個人に所得税が課されます。

課される所得税は、通常の売却と同じように現物出資時の円換算額から取得費(購入時の円換算額)を差し引いた額をもとに計算されます。

仮想通貨の価格が落ちているときに行うのがお得ということですね。

納税資金の準備が必要

金銭を用意することなくできる仮想通貨の現物出資による会社設立ですが、上記で書いたように一旦売却したものとして個人に所得税がかかります。

従って個人の確定申告(3月15日)までに現物出資した分の納税資金を準備する必要があります。

「出資する金銭がないから、仮想通貨を現物出資しよう」と考えても、後からいずれにしても納税のための金銭が必要になりますのでご注意ください。

まとめ

仮想通貨を現物出資して合同会社を設立する方法、メリット・デメリットをまとめました。

少しでも安く・早く会社を設立したいという方の参考になれば幸いです。


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