非居住者・外国法人の課税はどう行われる?

Last Updated on 2021年6月8日

日本に住所がない人は、日本では税金を納める必要はないのでしょうか。

答えはNoです。厳密に言うと、

「特定の収入に対して、限られた範囲で日本で課税される」

ことになります。

個人だけでなく、外国で設立された法人も同じです。

本記事では、論点となりやすい

  1. 非居住者・外国法人が日本で課税されるケース
  2. 国内源泉所得とは?
  3. 恒久的施設(Permanent Establishment)とは?
  4. 非居住者・外国法人の源泉徴収
  5. 納税管理人とは?

について説明します。

非居住者・外国法人が日本で課税されるケース

税金用語で、

日本に住所を持っていない人を「非居住者」、

日本で設立されていない法人を「外国法人」

と呼びます。

非居住者と外国法人は、国内源泉所得、つまり

日本で発生した収入がある場合

に、日本に税金を納める必要があります。

国内源泉所得とは?

日本で発生した収入(国内源泉所得)は、

大きく事業から得られる事業所得と、それ以外の所得に分けられます。

例えば、以下です。

  1. 事業所得
  2. 国内にある資産の運用又は保有により生ずる所得
  3. 国内にある資産の譲渡により生ずる所得
  4. 人的役務の提供
  5. 不動産の貸付
  6. 使用料(ロイヤルティ)

事業所得に課税するか決定する「恒久的施設」

国内源泉所得のうちの事業所得は、例外として

支店等の事業を行うなどの一定の場所や代理人を持たない場合、日本にて課税されません。

この一定の場所等のことを、「恒久的施設」(Permanent Establishment, PE)と呼びます。

PEは、以下が該当します。

  • 事業を行う場所、視点、事務所、工場、作業場など
  • 建設、据付工事またはこれらの指揮監督を1年を超えて行う場所
  • 国内の代理人で、一定の権限を持って主要な役割を果たす者

つまり、事業を行う一定の場所・代理人(PE)が日本になければ、

事業をまともに行うことはできないという前提で、事業所得は課税対象外となっているのです。

この「PEなければ課税なし」は、日本だけでなく、多くの国が取り入れている考え方です。

外国に住んでいる方や、外国で設立された法人の経営者の方は

日本で課税されるかどうかを考えた時に第一に考えたい論点です。

 

非居住者・外国法人の源泉徴収

国内源泉所得の中には、源泉徴収の対象となっているものもあります。

例えば、以下です。

  1. 土地の譲渡(10.21%)
  2. 人的役務の提供(20.42%)
  3. 不動産の貸付け(20.42%)
  4. 預貯金等の利子(15.315%)
  5. 配当等(20.42%)
  6. 使用料(20.42%)
  7. 給与・報酬・年金等(20.42%)

*租税条約によって税率が軽減されたり、徴収が不要になるケースもあります。

上記のうち、1、2、3は

源泉徴収されるとともに、確定申告も行う必要があります。

実際、源泉徴収された金額>実際に納めるべき税金

となることが多く、還付を受けるためでもあります。

ただ、外国にいて日本での申告が難しい場合も多いでしょう。

その場合は次に説明する納税管理人が代わりに申告を行います。

 

日本で申告する義務がある非居住者・外国法人は納税管理人の設定を

日本で申告する義務がある非居住者・外国法人は

納税者に代わって申告を行う納税管理人の設定をすることができます。

納税管理人の設定をする際には税務署への届け出が必要となります。

設定が済むと、申告書は毎年納税管理人の住所へ届けられます。

納税管理人は納税者の納税地に申告書を提出します。

日本に引き続き収入があり、海外へ転勤の予定がある方は、

出国する前に忘れずに納税管理人の設定を行いましょう。

 

まとめ

非居住者・外国法人への課税の基本をまとめました。

とても複雑なルールですので、

不安な方はスポット相談(オンライン又はメール)をご利用ください。

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