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ビットコインに関わる個人の所得税の取り扱い

最近マスメディアの影響もあってか、仮想通貨の1つであるビットコインを個人で取引する人が増えてきました。

最近の仮想通貨の動きとしては、平成29年4月1日に施行された「資金決済に関する法律」に「仮想通貨」が定められ、支払手段の1つとして認識されたことが記憶に新しいのではないでしょうか。

そして、2017年7月1日以降はビットコイン取引にかかる消費税は非課税となることが決まっています。

現に、ビットコインの売買で利益が出て今年度の確定申告をどうするか考えている人もいるでしょう。

そこで、ビットコインに関わるケース別個人の所得税の取り扱いをまとめてみました。

ビットコインの性質と法的な位置づけ

円をはじめ、通貨とビットコインの性質の大きな違いは発行者がいるかいないかです。

平成26年3月10日の国会答弁書によれば、日本の民法上の通貨とは国家が発行する強制通用力が担保されているものをいい、発行者のいないビットコインはこれに該当しないということが書かれています。

また、外為法に定める本邦通貨や外国通貨のいずれにも該当しないということも書かれています。

一方で、先に述べた平成29年4月1日施行の資金決済に関する法律によれば、仮想通貨は

物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの

と定義されており、「財産的価値」という言葉が使われています。

従って現時点でのビットコインの税法以外の法的な位置づけは

  • 通貨(お金)ではないけれども、
  • 財産的価値があるもの

ということになります。

ビットコインで得た利益は所得税の課税対象となるか?

以上税法以外の法律におけるビットコインの位置づけを確認しました。

それでは所得税法上ビットコインで得た利益は課税対象となるのでしょうか。

日本の所得税法上は、人の担税力(税金を納める能力)を増加させる利得は、その源泉、形式、合法性の有無にかかわらずすべて所得を構成すると解されています。

例えば土地の譲渡をした場合、別に儲けるつもりで譲渡したわけでなくても、売却益が出たら所得税の課税対象となります。

上記と同様、ビットコイン取引をしたことによって得た利益はその理由(事業目的であろうが、投資目的であろうが、たまたまであろうが)が何であれ所得を構成し、課税対象となります。

ビットコインの使用による利益は事業所得又は雑所得

前述したとおり、ビットコイン取引をしたことにより得た利益は所得税の課税対象となります。

所得税法上、所得区分は10種類設けられており、区分によって税率・税額の計算方法が異なります。

ビットコインの使用による利益は事業所得又は雑所得となります。

また、「使用」という言葉が国税庁のHPで使われていますが、ビットコインの「使用」とは、様々な意味で使われることが想定されますので以下ケース別に課税関係を説明します。

※2017年9月6日追記:当記事を執筆した時は投資目的で行うビットコイン投資は「譲渡所得」になる可能性がある、と記載しましたが国税庁のHPには、「事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として、雑所得に区分されます。」と記載され原則事業所得以外は雑所得に区分されることになりました。

No.1524 ビットコインを使用することにより利益が生じた場合の課税関係|所得税|国税庁

① 営利目的で継続的にビットコインの譲渡により得た利益

個人でビットコインを日常的に売買して譲渡益を得ている人のケースです。

ビットコイン売買が事業所得の要件を満たせば事業所得、それ以外は雑所得となります。

事業所得の場合には、ビットコインによって得られた譲渡収入から必要経費であるビットコインの取得費その他の事業経費を差し引いて所得を計算します。

また、事業所得の場合には他の所得との損益通算、損失の繰越控除、青色申告特別控除(65万円又は10万円)が受けられますが、雑所得の場合にはこの特典は一切ありません。

このように事業所得と雑所得をどう区分するかが重要となりますが、基本的にサラリーマンの方が副業程度に片手間で行なっている場合には雑所得となります。

実際は事業にかけるコスト、時間など様々な要因を考慮して決定します。

厳密な区分は下記の記事にも触れておりますので、興味があればご参照ください。

副業でネットビジネスを行っている方は注意。開業届・青色申告承認申請を出す=即事業所得ではありません

 

② 採掘により稼得したビットコイン

ビットコインの発行や取引はP2Pネットワークで行われ、その承認には複雑なハッシュ計算が必要となります。

その承認作業を行って成功報酬としてビットコインを得ることを採掘(mining)といいます。

採掘には専用のPCやソフトウェアが必要となり、個人で行うにはもはや難しい状況ではありますが、

もし個人でビットコインを採掘した場合には、そのビットコイン収入は事業所得の要件を満たせば事業所得、それ以外は雑所得となります。

③ ビットコインで決済・他の仮想通貨と交換したことにより得た利益

店舗でビットコインを使って決済したり、他の仮想通貨と交換したケースです。

決済や交換に課税されるというのは少し分かりづらいかもしれません。

例えば、1BTC(ビットコインの単位。)=10,000円のときに1BTC買ったとしましょう。

この1BTCを使ってビックカメラで20,000円相当の家電を買ったとします。

家電を購入した時のビットコインのレートが1BTC=20,000円であったとすると、

10,000円の投資で20,000円の買い物ができたことになります。

このときビットコインの譲渡収入20,000円から取得費10,000円を控除した10,000円が課税対象となります。

所得区分は、事業の要件を満たせば事業所得、それ以外は雑所得となります。

ただ、現実的に執行面でこのケースは利益計算が複雑となり、把握が難しいのではないでしょうか。

原則論でいうと課税対象とはなりますが、今後通達などで簡易的な方法が整備されると思われます。

まとめ

現時点で考えられるビットコインに関わる個人の所得税の取り扱いをまとめました。

心配な方は、申告する前に一度専門家に相談することをお勧めします。

参考資料

ビットコインに関する質問主意書:質問本文:参議院

ビットコインに関する質問に対する答弁書:答弁本文:参議院

ビットコインに関する再質問主意書:質問本文:参議院

ビットコインに関する再質問に対する答弁書:答弁本文:参議院

論説 ビットコインと税務 税代ジャーナル 大阪不服審判所次席国税審判官 土屋雅一

大阪経大論集 仮想通貨と所得税-採掘されたビットコインに所得税はかかるのか?- 伊東公哉