【クラウド会計ユーザー向け】2022年1月1日以降の電子取引のパターン別保存方法

Last Updated on 2021年9月8日

令和3年度の税制改正で、2022年1月以降適用の電子帳簿保存法の改正が大幅に行われました。

2021年7月16日には、「電子帳簿保存法Q&A(一問一答)~令和4年1月1日以後に保存等を開始する方~」も国税庁から公表されています。

電子帳簿保存法Q&A(一問一答)~令和4年1月1日以後に保存等を開始する方~|国税庁

中でも、「電子取引」の改正が重要です。

そこで、本記事では

クラウド会計(freee、マネーフォワードクラウド)をお使いの方が令和4年1月1日以降に行う電子取引のパターン別保存方法

を、解説します。

 

電子取引とは

電子取引とは、通常注文書、契約書、領収書などの書類に記載される事項(取引情報)をデータでやり取りする取引を言います。

例えば、以下です。

  • 電子メールで請求書や領収書等のデータ(PDFファイル等)を受け取る
  • インターネットのHPから請求書・領収書のデータをダウンロード・スクリーンショットする
  • 電子請求書や電子領収書のやり取りをクラウドサービスで行う
  • クレジットカードの利用明細、交通家ICカードの支払データ、スマホの決済データを活用したクラウドサービスを利用する
  • EDIシステムを利用する
  • ペーパーレス化されたFAX機能を持つ複合機を利用する
  • 請求書や領収書データをDVD等の記録媒体を介して受け取る

最初から紙を使わない取引、と考えれば分かりやすいでしょう。

 

電子取引の保存要件

2022年1月1日以降、電子取引を行った場合にはデータのまま保存することが義務となりました。

現状の紙に印刷して保存することが認められなくなる(データで保存していない場合、青色申告取り消しの可能性も)ため、電子取引を行う場合には下記の要件をよく確認する必要があります。

電子取引の保存要件は、以下のとおりです。

  1. 関係書類の備付け・・・システムの概要を備付け
  2. 見読性の確保・・・ディスプレイ等に整然かつ明瞭に表示
  3. 検索機能の確保・・・取引先、取引年月日、取引金額で検索可能
  4. 保存措置

4.の保存措置は、以下のいずれかを満たせばOKとされています。

  1. タイムスタンプが付されたデータの受取
  2. データを受け取った後、タイムスタンプを付与
  3. データの訂正又は削除を行った場合にその記録が残るシステム又は訂正又は削除ができないシステムを利用
  4. 訂正削除の防止に関する事務処理規定の備付け

予算が限られている中小企業にとってタイムスタンプ導入は現実的ではありません。

したがって実務上は、3又は4の運用となるでしょう。

 

電子取引のパターン別保存方法

それでは、代表的な電子取引のパターン別の保存方法を見ていきましょう。

請求書をクラウド会計で共有した場合

クラウド会計freeeとマネーフォワードクラウドは、請求書をWeb上で共有することができます。(下記はfreeeの請求書をWeb共有した場合の画面です)

請求書をWeb上でお客様と共有した場合、保存措置の要件3で説明した「データの訂正又は削除を行った場合にその記録が残るシステム又は訂正又は削除ができないシステムを利用」に該当ため、電子取引の保存要件を満たします。

保存場所はクラウドサービスなど外部のサーバーでもOKとされているため、あらためて自社サーバー等に請求書データを保存する必要はありません。

検索要件(取引年月日、取引先、取引金額)についても、満たします。

【freee】

【マネーフォワードクラウド】

請求書画面では取引金額だけ検索項目になく、Ctrl+Fで無理やり検索するしかないのですが、、

ひとまずは検索でき、場合によってはその他の帳票(仕訳帳など)でも検索できるのでOKかと思います。

 

請求書をメールで受け取った場合

自社はクラウド会計を使っているけれど、お客様は使っていない、ということもあるでしょう。

お客様からメールで請求書を受け取った場合には、

  • 電子メール本文に取引情報が記載されている場合⇒電子メールそのものを保存
  • 添付ファイルとして取引情報を受け取った場合⇒添付ファイルを保存

します。

この場合の保存先も、自社サーバー以外にも外部のクラウドサービスが認められます。

保存の際には検索要件(取引先・取引年月日・取引金額)を満たす必要があります。

中小企業の場合、検索要件を満たしたファイル管理システムを導入していないことも多いでしょう。

その場合には、以下の方法も認められます。

  1. 請求書等のデータのファイル名に、規則性をもって内容を表示する。(又は別途Excel等で索引簿を作成)
  2. 「取引の相手先」や「各月」など任意のフォルダに格納して保存する。

1.の方法について国税庁のQ&Aには、ファイル名の付け方が紹介されています。

2022年10月31日に株式会社国税商事から受領した110,000円の請求書⇒「20221031_㈱国税商事_110,000」

索引簿のフォーマットも公開されています。

(趣旨から逸れますが、連番を丸付きにする必要はないと思います。)

ただ現実的には、上記①の方法は非常に手間がかかるのではないかと思われます・・。

②の任意のフォルダに整理して格納する方法が現実的ではないかと思います。

なお、この場合クラウドサービスを介さないため、

もうひとつの保存措置の要件である「訂正削除の防止に関する事務処理規程の備付け」が求められます。

そのフォーマットもQ&Aに紹介されています。

すべての取引をクラウドだけで完結するのは難しいため、すべての会社が作っておいたほうが良い規程と考えます。

フォーマットは以下のページからダウンロードできます。

参考資料(各種規程等のサンプル)|国税庁

 

クラウド会計にデータを取り込んだ場合

クレジットカードや電子マネーなどのデータをクラウド会計に取り込んだ場合には、

保存措置要件の3.「データの訂正又は削除を行った場合にその記録が残るシステム又は訂正又は削除ができないシステムを利用」に該当しますので、

電子取引の保存要件を満たします。特にその他に必要な措置はありません。

(なお、経理担当がいる場合には領収書データ添付など内容が分かる状況にしておくことは別途必要かと思います)

検索要件も、取引先、取引年月日、金額で検索できれば問題ないでしょう。

 

従業員が立て替えた場合

Q&Aでは、従業員が電子取引にて経費を立て替えた場合のデータについては、従業員から集約し、会社として取りまとめて保存・管理することが望ましいとされています。

クラウド会計の場合、経費精算にてデータを添付できる機能を利用するのが早いでしょう。

例えば従業員が通販で購入した商品の経費精算をするときに、ダウンロードした領収書PDF(スクリーンショットでもOK)を取引に添付する方法です。

登録されたデータは、取引先、取引年月日、金額で検索できるため問題ないでしょう。

なおこちらの方法はクラウド会計ソフトに直接取り込む方法ではないため、

前述した「訂正削除の防止に関する事務処理規定の備付け」が求められます。

 

まとめ

クラウド会計ユーザー向けに、2022年1月1日以降の電子取引のパターン別保存方法を確認しました。

特に決算月が12月以外の会社の場合、期の途中で電子取引の保存方法が改正されるため

いまから取引を整理し、要件を確認しておくなど準備しておくことをお勧めします。


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