国税庁『「税務行政の将来像」に関する最近の取組状況〜スマート税務行政の実現に向けて〜』について

スマート税務行政の実現に向けた報告書が公開

2019年6月21日に、国税庁より『「税務行政の将来像」に関する最近の取組状況〜スマート税務行政の実現に向けて〜』という報告書が公表されています。

税務行政の将来像 ~ スマート化を目指して ~|国税庁

ICTの活用による税務行政の効率化の取り組みは、10年後を見据えたものとなっています。

その取組は2017年6月より行われており、

この報告書には2年間の取組と、今後の取組について書かれています。

 

 

スマート税務行政の実現の目的は2つ

ICTを活用したスマート税務行政の実現の目的は主に2つです。

  1. 納税者の利便性の向上・・・税務手続のデジタル化、税務相談の効率化、税務署窓口のスマート化
  2. 課税・徴収の効率化・高度化・・・調査・徴収の効率化

今回は会社員の方や、スモールビジネスを行う方に関係する1.の部分を説明したいと思います。

 

個人の方向け

取組例①スマホ・タブレットによる電子申告

2018年分の確定申告より、本格的にスマホでの電子申告が開始されました。

会社員の方で利用された方もいるかと思います。

2018年分までは収入は年末調整済みの給与所得1箇所のみであったり、

所得控除も医療費控除、寄附金控除だけと限定されていましたが、

2019年分(2020年1月〜申告分)からは、申告できる収入と所得控除が増えることになりました。

引用:国税庁『「税務行政の将来像」に関する最近の取組状況〜スマート税務行政の実現に向けて〜』5ページ目

 

収入については2箇所以上の給与の他公的年金等やその他雑所得・一時所得

所得控除についてはすべて

が申告できることになりました。

2018年分まではふるさと納税や医療費控除を行う会社員の方くらいしか

いなかったのですが、今後は

  • 2箇所以上勤務の会社員の方
  • 副業(雑所得に該当するもの)を行っている会社員の方
  • 年金所得者の方

もスマホ申告ができるようになります。

注目しているのが年金所得者の方です。

高齢者の方が混み合った税務署へ向かうのは大変ですし、

スマホやタブレットを利用して自宅で申告できれば負担はかなり減るのでは、と考えています。

事業所得者(フリーランス)は決算書などもあるのでやはりまだ難しいようですね。

 

なお、2020年1月以降は、マイナンバーカード読み取り機能を記載したスマホ(2019年6月現在はAndroidのみ、71機種)を使えば、

マイナンバーカードの電子証明書を用いたe-Tax送信が可能になるとのことです。

 

取組例②年末調整手続の簡便化

2020年10月に、「年末調整控除申告書作成ソフトウェア(年調ソフト)」というものが無料で導入され、

年末調整手続が簡便化される予定です。

具体的には、今まで保険会社等から送られてきた控除証明書等の書類をデータで従業員が受取り、

それを「年調ソフト」に取り込んで会社に提出することができるようになります。

引用:国税庁『「税務行政の将来像」に関する最近の取組状況〜スマート税務行政の実現に向けて〜』6ページ目

この取組は、従業員だけでなく会社にもあると思っています。

従業員のメリット

従業員にとっては、

  • データを年調ソフトに取り込むだけで各種申告書ができあがる
  • 紙の管理をしなくても良くなる

のメリットがあるでしょう。

特に年1回の年末調整で、慣れない申告書に1から記入しなくてもよくなるのは、

大きな負担軽減につながります。

会社側のメリット

会社にとっては、

  • チェックを効率化できる(データから自動作成されたものであれば間違いは少ないはず)
  • 書類保管の負担の軽減

のメリットがあります。

なお扶養控除等申告書、保険料控除申告書などの源泉徴収に関わる各種申告書については

下記の手続きをすることによって以前から電子保存が認められています。

[手続名]源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請|国税庁

ただ、その証明書類となる控除証明書などは紙保存でした。

これらもすべて電子保存ができるとなると、年末調整に関しては100%電子保存が

可能となり、ペーパーレスが一層進むものと期待しています。

民間ベンダーが提供している給与システムとの連携

この国税庁が無料で提供する「年調ソフト」は、仕様の公開を通じて

民間ベンダーが提供している給与システム(例えば、freeeの人事労務freeeなど)の開発も促進される予定とのことです。

例えば人事労務freeeは、

従業員の家族情報を入力すると扶養控除等申告書が自動的に出来上がる、

保険料の情報を入力すると保険料控除申告書が自動的に出来上がる

などの機能が既にあります。

年調ソフトから人事労務freeeにデータを移行することによってこれらの

業務が自動化され、より効率化できるのか、今後注目されるところです。

 

取組例③マイナポータルのを活用した確定申告の簡便化

マイナンバーのポータルサイト、「マイナポータル」で確定申告に必要な控除証明書等の情報を一括入手し、

そのデータを確定申告書に自動入力できる仕組みの実現が進められているようです。

引用:国税庁『「税務行政の将来像」に関する最近の取組状況〜スマート税務行政の実現に向けて〜』7ページ目

 

例えばふるさと納税を行った場合、

現状は確定申告書に「寄附金控除証明書」を添付しなければなりません(電子申告の場合には、寄付内容を入力する必要あり)。

これらの情報を、マイナポータルにアクセスして一括してデータを入手し、

そのデータを確定申告書に自動入力できるようになるイメージでしょうか。

確定申告の手間の一つは、現状、「資料集め」「資料に基づいた申告書への記入(入力)」にあります。

これらの資料集めがマイナポータルから一括して、しかもデータで入手し確定申告書に自動入力できる

のであれば確定申告にかかる時間がかなり短縮できるのではないかと、期待しています。

 

取組例④企業が行う手続きのオンライン・ワンストップ化

法人設立や従業員の入退社手続きについて、これまでバラバラだった縦割り手続きを、

マイナポータルを活用してワンストップ化することが予定されているようです。

引用:国税庁『「税務行政の将来像」に関する最近の取組状況〜スマート税務行政の実現に向けて〜』9ページ目

 

現状、会社を設立する際には公証人役場、法務局、税務署、都(県)税事務所、市役所、労基署、ハローワーク、年金事務所等、すべて別々に手続きをする必要があり起業家の負担が重いものでした。

今後は「マイナポータル」を通じてこれらの手続きがすべて一本化される予定とのことです。

登録免許税とか、安くならないかなあ・・なんて思っていますがそれとこれとはまあ別でしょう。

 

もう一点は、従業員の入退社手続きのワンストップ化です。

これも現状入退社があった場合には年金事務所(社会保険加入)、ハローワーク(雇用保険加入)、市区町村(住民税特別徴収手続)と縦割りであったのが、マイナポータルを通じて一本化される予定とのことです。

現状、これらの電子申請ソフトはバラバラでしかも使いやすい状況ではなかったので、

一本化され使いやすくなることに期待しています。

参考記事(個人ブログ):

法人の行政手続の電子化まとめ 税金、社会保険・労働保険、登記関係

 

 

なおワンストップサービスはマイナポータルのAPIを通じて行われるとのことで、

既にある民間ベンダーソフトとの連携が期待されます。

 

取組例⑤ 税務相談の効率化

その他、税務相談の効率化が予定されており、その一環として

国税庁HPへのチャットボットの導入が予定されています。

引用:国税庁『「税務行政の将来像」に関する最近の取組状況〜スマート税務行政の実現に向けて〜』11ページ目

ちょっとした質問であればボットが自動回答してくれるようです。

(バス代が医療費控除に該当するかなど)

土日、夜間等も対応可能で、日時にとらわれないので

日中忙しい方にとっては利便性が増すと思われます。

 

まとめ

2019年6月21日に国税庁より公表された、

『「税務行政の将来像」に関する最近の取組状況〜スマート税務行政の実現に向けて〜』という報告書

について説明をしました。

より一層税務行政が電子化されることによって、納税者の利便性が一層向上すると考えられます。

こういったことを背景に、我々専門家の役割もかわってくるはずと確信しています。

「代行」ではなく、このような税務行政の電子化を前提とした、

クライアントへの業務効率化の「アドバイス」と、「最終チェック」がメインになると考えています。

当事務所も、これらの情報を踏まえてお客様の状況に合った提案をさせていただきます。


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