Last Updated on 2023年4月16日
2022年12月16日、2023年度(令和5年度)税制改正大綱
が発表されました。
今回は、暗号資産に関する改正をまとめます。
- 法人が期末に有する暗号資産のうち、自己が発行する暗号資産等については時価評価の対象外に
- 自己が発行した暗号資産の取得原価の明確化
- 法人が借り入れた暗号資産の取得原価の明確化
目次
期末に有する暗号資産の時価評価方法の見直し(法人)
法人が期末に保有する暗号資産のうち、以下のものについては除外が認められることになりました。
- 自社が発行した暗号資産で、発行のときから継続して保有し、その発行の時から継続して次のいずれかにより譲渡制限が行われているもの。
- 他の者に移転することができないような技術的措置がとられていること。
- 一定の要件を満たす信託財産としていること。
この改正によって、
法人が資金調達の手段として自己の暗号資産を発行することがしやすくなります。
これまでは、
「資金調達をしただけなのに、まだ実現していない含み益に対してキャッシュアウト(税金)を支払わなければならない」
という非常に重い取り扱いでした。
(現に、この税制によって海外に移転した会社もあります。)
今回の改正によって、最低限の整備がされたといえます。
とはいえ、自己が発行した暗号資産以外の暗号資産(例えば、BTCやETHなど)を期末に保有している場合には相変わらず時価評価なので、
値動きの激しい暗号資産を法人が保有することで税金に影響が出てしまう状態は変わりません。
自己が発行した暗号資産の取得価額の明確化(個人・法人)
自己が発行した暗号資産については、
その発行に要した費用の額を取得価額とすることが明確化されました。
これは、個人・法人同様の取り扱いです。
例えば、暗号資産を発行した際にかかった手数料、GAS代などが取得価額となります。
発行後に売却した場合には、この取得原価をもとに損益が計算されることになります。
法人が借り入れた暗号資産の譲渡をした場合の取り扱い(法人)
法人が、暗号資産交換業者以外の者から借り入れた暗号資産の譲渡をした場合には、
その譲渡時においてその暗号資産を買い戻したものとみなして損益を計上することとされました。
(その間に同じ暗号資産を買い戻している場合を除く)
これまで、借り入れた暗号資産については
売却損益を計算する際の取得原価の算定が不明確でした。
今回その取得原価が「売却時に買い戻したと仮定した場合の時価」
に明確化され、損益計算がスムーズに行えるようになったと言えます。
まとめ
2023年度(令和5年度)税制改正大綱の暗号資産関係
の改正をまとめました。
なお、それぞれの適用時期は明らかになっていません。
個人的には、所得税のほうで分離課税(一律20%)を認めてほしかったですが、
難しかったようです。
いずれにしても暗号資産の税金の整備は待ったなしですので、
今後も注視をしていきます。