個人でできるAmazonネット物販。損益計上のタイミングと書類を正しく押さえましょう

Last Updated on 2021年5月31日

近年サラリーマンに人気の副業の1つにネット物販があります。

特に大手ECサイトのAmazonを利用した物販は個人でもコストを最小限に抑えることができ、人気があります。

サラリーマンの場合給与所得以外の所得が20万円以下であれば申告は不要ですが、それを超えると副業収入の申告が必要になります。

更に、事業として青色申告をする場合には発生主義に基づく帳簿作成が必要となります。

物販の場合には仕入れて→売るという簡単なプロセスにはなりますが、ネット物販の場合には特に

  • 損益計上のタイミング
  • 申告に必要な書類の準備

に気を付ける必要があります。

それではこの2つのポイントついてAmazonネット物販を例に具体的に見ていきましょう。

Amazonネット物販にはどのような売上・経費があるか?

Amazonネット物販における売上は1種類、

  • Amazonにおける購入者への売上

のみです。

そしてAmazonネット物販にかかる経費は、

  • Amazon マーケットプレイス月額登録料(大口出品の場合)
  • 商品の仕入代金
  • ツール代
  • Amazonに払う売上時の販売手数料
  • Amazon倉庫への発送運賃
  • 購入者への発送運賃
  • 倉庫保管料
  • 海外口座維持料(海外販売の場合)
  • 為替手数料(海外販売の場合)

などがあります。

これらの損益を適切なタイミングで計上し、正しい利益を算定する必要があります。

Amazonネット物販の損益計上のタイミング・必要書類・会計処理

事業所得を計算するうえでの売上・費用の計上は発生時に行います。

費用は購入時、請求時など分かりやすいですが売上のタイミングはその業種によって様々です。

物販では一般的に売上のタイミングは出荷時に行われるケースが多いです。

以下、出荷時に売上計上をする前提で説明します。

 

Amazonネット物販には大きく分けて

  • FBA(Fulfillment by Amazon)販売

→出品者はあらかじめ在庫として商品を仕入れ、Amazonの倉庫に発送する。受注が入ったら購入者にAmzonの倉庫から出荷を行う販売手法。

  • 無在庫販売

→出品者は受注が入ったら卸業者などから仕入を行い、購入者に直接出荷を行う販売手法。

があります。

それぞれ処理の流れが違いますので、分けて説明します。

なお、Amazonのネット物販は、管理画面である「セラーセントラル」でほぼ損益管理ができます。

FBA販売の場合

FBA販売の場合には、最初に仕入が発生するので以下の流れになります。

①仕入時

【必要書類】

次の事項が分かる書類を残しておきましょう。これらの書類は輸出を行っている方が消費税還付を受けるためにおいても必ず必要になる書類です。

  • 仕入の相手方の氏名又は名称
  • 仕入を行った年月日
  • 仕入た商品の内容
  • 仕入れた商品の対価

実店舗での仕入であれば領収書が発行されますが、

ネットで購入した場合にはそういった書類がない場合もあります。

その場合には上記の事項が分かる書類(注文明細、購入明細など)を保存しておきましょう。

例えば、ヤフーショッピングでは次の注文履歴詳細に必要な情報が記載されています。

1

【会計処理】

仕入れを行った日に仕入の計上を行います。

商品の購入金額を、

仕入/未払金(現金払いの場合には現金預金)

の仕訳で処理します。

 

②Amazon倉庫への発送時

【必要書類】

倉庫へ発送する際に利用した運送会社への支払の控を残しておきましょう。

【会計処理】

商品を倉庫へ発送した日付で運送費の計上を行います。

運賃/未払金(現金払いの場合には現金預金)

 

③受注・売上

【必要書類】

Amazonの仕組み上、商品の出荷がされると売上が確定し、その後の入金スケジュールも確定します。

従って出荷したことが分かる書類を残しておくことが重要です。

倉庫に発送した商品に受注が入り、出荷がされるとAmazonから商品発送のお知らせが来ます。

その時点でセラーセントラル(管理画面)の注文管理のステータスも更新されますので、出荷日が分かる画面を保存しておきましょう。

 

2

【会計処理】

商品の出荷がされると、Amazonのセラーセントラル画面上で売上と販売手数料が表示されるようになります。(下記例は外国への売上なので金額がドル建てになっています)

3

これらのデータを確認し、

商品価格合計を 売掛金/売上で計上し、

Amazon手数料を 販売手数料/売掛金

で計上しましょう。

 

④入金時

【必要書類】

売上げた金額の入金が分かる通帳、CSVデータを確認します。

【会計処理】

入金してきた売掛金について、

現金預金/売掛金

の処理をして売掛金を消し込みます。

物販の場合数も多くなるのでエクセルで別管理するか、クラウド会計を使用することをお勧めします。

 

無在庫販売の場合

無在庫販売の場合には、注文を受けてから仕入れるので以下の流れとなります。

5-2①受注・仕入時

【必要書類】

FBA販売のときと同じように次の事項が分かる書類を残しておきましょう。

  • 仕入の相手方の氏名又は名称
  • 仕入を行った年月日
  • 仕入た商品の内容
  • 仕入れた商品の対価

【会計処理】

FBAのときと同じく、仕入れを行った日に仕入の計上を行います。

 

②出荷時

【必要書類】

FBAの場合と同じく、出荷したことが分かる書類を残しておきましょう。

また、無在庫販売の場合には直接購入者へ商品を発送するので、運送会社に支払った発送代金の控えも残しておきましょう。

【会計処理】

無在庫販売の場合には自身で出荷作業の手続きを行った時点で売上が確定します。

出荷作業の手続きを完了するとFBAのときと同じようにセラーセントラル上で売上と販売手数料が表示されます。

これらを基に売上と販売手数料の仕訳を行いましょう。

③入金時

【必要書類】

FBAのときと同じく、売上げた金額の入金が分かる通帳、CSVデータを確認します。

【会計処理】

FBAのときと同じく、売掛金の消込を行います。

注意点

上記で説明した必要書類について、

「ネットの管理画面で情報は確認できるから保存する必要はないのでは?」

と思われるかもしれませんが、ネット物販の場合

  • アカウント停止・削除・乗っ取り
  • 何らかの原因でログインできなくなる

なども可能性としてはゼロではありません。

念のため証拠書類は自身で保存しておき、いつ調査が来ても引っ張り出せるような状況にしておきましょう。

 

クラウド会計のススメ

以上で見てきたように、Amazonのネット物販は取引量が多くなると記帳が大変になります。

そこで、銀行口座やカードを自動連携することのできるクラウド会計ソフト(freee、MFクラウド)をお勧めしています。

freeeの口座連携

freee上、Amazonの管理画面セラーセントラルと同期することができます。

この場合、上記で見た出荷ごとに同期されるのではなく、Amazonからの支払いが確定する度(2週間に1度)に注文番号ごとにまとめて同期されることになります。

なお、個数当たりの出荷作業手数料や割引は取り込まれないので注意する必要があります。

参考:

Amazon出品(出店)サービス(Amazon セラーセントラル) – 売上データを取り込む – freee ヘルプセンター

MFクラウドのの口座連携

MFクラウドでは、個別の取引ごと決済期間(2週間)ごとの集計の2つの口座が用意されています。

取引金額が集計されてしまうと内容を把握できないのでできれば取引数が少ないうちは個別の取引ごとに同期した方が良いでしょう。

 

まとめ

Amazonネット物販の損益計上のタイミングと必要な書類をまとめました。

ネット物販を始めたもののどう仕訳したらいいか分からない、必要な書類が分からない・・という方はぜひ参考にしてみてください。

 

※Amazonの規約に関しては当事務所は全て把握しているわけではありません。恐れ入りますが規約の詳細はAmazonのホームページなどで確認していただきますようお願いいたします。