国税庁の暗号資産の計算書(Excel)を使って雑所得を計算する方法(具体例)

Last Updated on 2023年4月17日

暗号資産の所得計算は複雑

暗号資産の所得計算は、

単に売買だけでなく、

  • 暗号資産同士の交換
  • 商品の購入
  • マイニング・ステーキング・NFTゲーム・Defi等で獲得したコイン

などの場合も必要で、どうしても複雑になります。

 

暗号資産の所得計算ツールは様々ありますが、

本記事では国税庁が無料で公開している暗号資産の計算書(Excel)を使って具体的に所得計算をする方法(具体例)を紹介します。

 

国税庁の暗号資産の計算書(Excel)を使って所得を計算してみよう

計算書をダウンロードする

まずは、計算書をダウンロードしましょう。

以下のページからダウンロードができます。

暗号資産に関する税務上の取扱い及び計算書について(令和3年12月)|国税庁

なお、事前に届出を行っていない限り、

暗号資産の計算書(総平均法用)のほうとなります。

 

暗号資産ごとにシートを作成する

Excelを開くと、10枚のシートがあります。

保有している暗号資産ごとに、シートが必要になります。

(取引所ごとではないのでご注意ください)

「暗号資産の名称」に持っている暗号資産の名前を入力していきましょう。

ちなみにこのExcelシート、保護が変にかかっていて

シートの追加ができないので、10枚以上必要な場合にはなんとか

保護を解除してシートを追加しましょう。

 

年初の数量・金額を入力する

去年からの繰越がある場合には、4.の年始残高に数量と金額を入力します

今年の売却原価や、翌年以降繰越す総平均単価を計算するために必要です。

年間取引報告書の内容を転記する

取引所から年間取引報告書が発行されている場合には、

その内容を2「年間取引報告書に関する事項」に転記します。

 

以下はbitFlyerの年間取引報告書の例です。

  1. 年中購入数量・年中購入金額(JPY)→Excelの2.の購入欄へ
  2. 年中売却数量・年中売却金額(JPY)→Excelの2.の売却欄へ
  3. 支払手数料(JPY)→Excelの5.の手数料等欄へ
  4. 証拠金取引の損益合計(JPY)→Excelの5.の信用・証拠金(差益または差損)欄へ

 

年間取引所報告書以外の内容を3.に入力する

年間取引報告書以外の取引を、

取引所から入手できるcsvデータ等を参照して

3.の欄に入力します。

 

なお、金額はすべてJPYで入力する必要があるので、

JPYの金額がわからない場合には

取引日のレートで換算する必要があります。

レートは普段お使いの取引所が公開しているものなど、

継続して利用すればOKです。

 

交換

暗号資産同士の交換を入力します。

交換の場合には売却した暗号資産・購入した暗号資産2つのシートに入力することになります。

 

例えば、ETHでBTCを購入したときには、

ETHのシート:「売却等」に数量と金額を入力

BTCのシート:「購入等」に数量と金額を入力

します。

このとき、それぞれのJPYの金額は同額になります。

 

 

商品(NFT等)の購入

NFT等の商品を購入した場合には、

利用した暗号資産の売却等欄に数量と金額を入力します。

 

例えば、ETHでNFTを購入した場合には、

ETHのシートの売却等の欄に数量と金額(円に換算した金額)を入力します。

購入したNFTについてはこの計算シートで管理する必要はありませんが、

いずれにしても売却するときに取得原価の情報が必要になるので

NFTごとにシートを準備して管理しておくのが良いでしょう。

 

マイニング・ステーキング・NFTゲーム・Defi等で獲得した暗号資産

マイニング、ステーキング等で獲得した暗号資産については

獲得した暗号資産=所得となります。

この金額は後述する全体計算シートに別途転記します。

 

さらに、暗号資産の購入と同じなので

総平均単価の計算のためにステーキング等で増えた

数量・金額を「購入等」の欄に入力します。

 

例えば、ステーキングでETHが増えた場合には、

「購入等」の欄に次のようにそれぞれ数量・金額を入力します。

これによって、総平均単価と次年度への繰越額が正しく計算されます。

 

すべて入力し終わると、

5.の所得金額に金額が表示されます。

 

 

暗号資産の全体の収入・経費を集計する

売却原価以外の経費があれば別途Excel等で集計します。

例えば、以下の支出です。

  • マイニングのためにかかった電気代
  • 暗号資産投資を学ぶためのセミナー
  • 暗号資産投資を学ぶための書籍代
  • 税理士に支払う暗号資産の確定申告料金

上記の計算シートで計算した暗号資産ごとの所得(売却益)、

マイニング・ステーキング・Defi・NFTゲーム等の直接収益、

そして経費を差し引けば確定申告書で申告する雑所得が計算されます。

(下記は全体の利益の計算例です)

なお、NFTの売却は基本的には「譲渡所得」となるため、

上記の計算とは別に行う必要があります。

 

まとめ

国税庁の暗号資産の計算書(Excel)を使って雑所得を計算する方法

を解説しました。

自分で取引所データを入力する必要がありますが、

無料ですし、納得しながら進められるので

この計算書を使う方法が一番確実と考えています。