暗号資産の貸付けによる利用料は消費税課税対象になることが明確化されました

Last Updated on 2021年7月13日

2021年6月30日、国税庁公表の「暗号資産に関する税務上の取扱いについて(情報)」に、

「暗号資産の貸付けにおける利用料」が追加されました。

これによって、暗号資産の貸付けによって得る利用料は、消費税の課税対象とされることが明らかにされています。

暗号資産に関する税務上の取扱い及び計算書について(令和3年6月)|国税庁

 

暗号資産のレンディングサービスが想定

今回の項目は、暗号資産のレンディング(貸付け)サービスが想定されています。

例えば、日本の大手暗号資産取引所であるCoincheckは、下記のような「貸仮想通貨サービス」を展開しています。

  • 暗号資産の保有者が、暗号資産を取引所に預け入れる
  • 保有者と取引所との間で消費賃貸借契約を締結し、取引所が一定期間暗号資産を預かる
  • 契約期間終了後に、取引所は預かった暗号資産と一定の料率で計算した利用料を保有者に支払う

 

海外の取引所のレンディングサービスを利用した場合は?

海外の取引所のレンディングサービスを利用して暗号資産を貸し付けた場合には、

資産の貸付けが行われる場所が「国外」であるため、消費税の課税対象外と考えられます。

 

除外されるもの

あくまで暗号資産の「貸付け」が消費税の課税対象です。

以下の場合はそれぞれ消費税の取扱いが異なりますのでご注意ください。

  • 暗号資産の譲渡(売却)・・・非課税
  • 暗号資産のマイニング・・・対象外
  • 暗号資産のステーキング・・・対象外

 

消費税の計算

2年前(法人の場合には2つ前の事業年度)の消費税の課税対象売上高が1,000万円を超えると、消費税の納税義務が発生します。

例えば、個人事業主の方の2年前の消費税の課税対象売上高が1,000万円超で、

今年暗号資産のレンディングサービスで利用料を得た場合、

その利用料に係る消費税も、本業分と合わせて納税する必要があります。

その際、レンディングを行うにあたって発生した経費の消費税は、納税額の計算上差し引くことができます。

(原則課税の場合。簡易課税の場合には受け取った消費税の一定の割合を乗じて納税額を計算します。)

 

まとめ

暗号資産の貸付けによる利用料は消費税課税対象になることが明確化されたことをまとめました。

消費税の課税事業者の方で、暗号資産のレンディングサービスによる収入がある方は、

ご注意いただければと思います。