2023年度(令和5年度)税制改正大綱まとめ(インボイス関係)

Last Updated on 2023年1月12日

2022年12月16日、2023年度(令和5年度)税制改正大綱

が発表されました。

今回は、消費税のインボイス制度に関する改正をまとめます。

 

  • 売上の消費税の2割を納めれば良い特例措置が創設
  • 1万円未満の支払については、インボイスが不要に
  • 各種届出の期限が柔軟に
  • 免税事業者の選択肢は4つになった
  • 2023年10月1日からインボイス発行事業者になるためには遅くとも2023年9月15日までに届出を

 

消費税2割計算の特例措置

内容

「2023年10月1日から2026年9月30日までに属する課税期間」の3年間は、

売上の消費税の2割を納付税額とすれば良い特例措置ができました。

例えば売上が税抜1,000万円であれば、消費税は10%の100万円。

そのうちの2割である20万円を税務署に納めれば良いことになります。

 

対象者

この優遇措置の対象者は、以下のとおりです。

  • インボイス発行事業者として課税事業者となった免税事業者
  • 課税事業者の選択をして課税事業者となった免税事業者

ここでポイントとなるのが、

「本来免税事業者の人」が対象という点です。

免税事業者とは、基準期間(個人事業主であれば2年前、法人であれば2事業年度前)の売上が1,000万円以下の方です。

(開業設立2年以内の個人、法人も基本的には免税事業者に該当します)

したがって、インボイス発行事業者になる前にそもそも免税事業者に該当しない事業者はこの2割計算の特例措置は利用できません。

 

特例措置を受けるための手続

この特例措置を受けるためには、

確定申告書にその旨を付記するだけでOKです。

特に、事前に届出は必要ありません。

 

特例措置のメリット

この特例措置を利用することによって、

  • 消費税の負担
  • 消費税申告の手間

を減らすことができます。

「免税事業者だけど、やむなくインボイス発行事業者に登録した」

という方は、こちらの特例措置を

検討してみることをお勧めします。

(業種によっては簡易課税、原則課税のほうが有利になる可能性はあります)

 

1万円未満の支払におけるインボイス不要の経過措置

内容

2023年10月1日から2029年9月30日までの間に国内で行う

1万円未満の支払については、インボイス不要(帳簿のみでOK)のとなりました。

 

対象者

基準期間(法人であれば2事業年度前、個人であれば2年前)の売上高が1億円以下の事業者に限られます。

基準期間の売上高が1億円を超える事業者は、

インボイスの交付が免除される取引を除いて

金額に関わらずすべての取引について消費税を差し引くためにインボイスが必要となります。

 

個人的には、これは全事業者に認めてほしかったですね。。

基準期間の売上高で判断するということは、年度ごとに対応が異なってしまいます。

 

届出期限の特例

消費税法は、届出について期限を設けています。

  • 消費税課税事業者選択(不選択)届出書・・・適用したい課税期間の前課税期間の末日まで
  • 簡易課税制度選択(不適用)届出書・・・適用したい課税期間の前課税期間の末日まで

このように、

基本的には「その年(事業年度)が始まる日の前日まで」に、

消費税の課税事業者の選択、簡易課税制度の選択をしなければならないのです。

(災害等があった場合には特例があります)

 

しかも、一度選択したら2年間継続しなければなりません。

先が見通せないご時世にはきつい制度です。

 

今回の改正では、この届出の期限の特例ができました。

 

消費税課税事業者選択不適用届出書の期限の特例

2023年10月1日の属する課税期間から、

  • インボイス発行事業者として課税事業者となった免税事業者
  • 課税事業者の選択をして課税事業者となった免税事業者

その課税期間中に課税事業者選択不適用届出書を提出したときには、その課税期間から免税事業者になることができます。

 

つまり、すでにその年(事業年度)が始まってからでも、

初日に戻って免税事業者に戻れます。

焦ってインボイス発行事業者に登録したけど、

実は必要なかったかも・・・という人を救済する措置です。

 

例えば個人事業主がインボイスが始まる2023年10月1日から

発行事業者として登録したけど、12月31日までに

課税事業者選択不適用届出書を出せば、10月1日に遡って

免税事業者になれます。

 

簡易課税制度選択届出書の期限の特例

上記の消費税2割計算の特例措置の適用を受けた事業者

が、その翌課税期間中に簡易課税制度選択届出書を提出した場合には、その提出した課税期間から簡易課税を選択できます。

 

つまり、その課税期間が始まってからでも、

課税期間の初日に遡って簡易課税を選択できることになります。

 

例えば個人事業主が2023年10月1日からインボイス発行事業者となった場合には、

本来2023年12月31日までに簡易課税を選択しなければ2024年1月1日から簡易課税制度を

適用できない(原則計算が適用される)のですが、

 

2024年が始まった後に簡易課税選択届出書を出しても1月1日に遡って簡易課税を選択できます。

 

簡易課税を選択するかどうか前年末までに判断できない人にとって良いですね。

 

*なお、インボイスが始まる2023年10月1日を含む課税期間においても、簡易課税制度選択届出書をその課税期間中に提出すればその課税期間から簡易課税を選択できる特例が既にあります。

 

20%特例によって、免税事業者の方の選択肢は4つになりました。

  • 免税事業者のままでいる
  • インボイス発行事業者に登録・20%特例(届出不要)
  • インボイス発行事業者に登録・簡易課税(届出要・期限はその課税期間の末日まで)
  • インボイス発行事業者に登録・原則課税

 

取引先との関係、業種、納税額、手間等考えて決める必要があります。

 

インボイス発行事業者の登録期限の見直し

免税事業者の登録申請期限の見直し

免税事業者が課税期間の初日からインボイス発行事業者の登録を受けようとする場合には、

受けようとする課税期間の初日の15日前(現行:1月前)までに申請

すれば良いこととなりました。

 

インボイス発行事業者の登録取消しの届出書の期限の見直し

インボイス発行事業者が登録の取消しの届出書を提出して

翌課税期間の初日から登録を取り消そうとする場合には、

その翌課税期間の初日の15日前(現行:30日前)までに

届出書を提出すれば良いことになりました。

 

免税事業者の登録申請期限の見直し(インボイススタート初年度のみ)

インボイス制度が始まる2023年10月1日から

インボイス発行事業者になるためには、

2023年3月31日(やむを得ない場合には2023年9月30日)までに

登録をする必要がありましたが、

今回の税制改正により、

提出日の15日後を希望日として提出できることになりました。

つまり、2023年10月1日からインボイス発行事業者になるためには

遅くとも2023年9月15日までに提出すれば良いことになりました。

 

いずれにしても、今後は

課税期間の初日から登録の適用・不適用の変更をしたい場合には「15日前まで」と覚えておけば良いでしょう。

 

まとめ

2023年度(令和5年度)税制改正大綱のうち、インボイス関係をまとめました。

今回の改正によってルールが複雑にはなっていますが、

いずれも免税事業者の負担を考慮したものとなっています。

「自分はどうすれば良いのだろう?」

と思われている免税事業者の方は、是非一度ご相談ください。

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