損失が出ている場合も損失を繰り越したり、損失の繰戻還付を受けるために確定申告しましょう

Last Updated on 2020年1月10日

損失の場合、確定申告の義務はなし。ただし確定損失申告をすることによって損失の繰越・繰戻を受けられる

確定申告は、税額計算を行った結果納付する税金がある場合に行うもの、従って赤字の場合は提出は不要ではないか・・

そう思われている方も多いのではないでしょうか。

確かに、確定申告は納付すべき税額が生じない人は基本的に行う義務はありません。

ただし、以下の場合に確定損失申告(損失用の申告書があります)を行うことにより損失を翌年以降に繰り越したり、前年に繰り戻したりすることができます。

1.純損失の繰越控除

事業所得・不動産所得などで損失が発生し、他の所得と相殺(損益通算)してもなお相殺しきれない損失を純損失と言います。

(なお、不動産や株式等の譲渡損失は損益通算できない損失なので考慮しません)

この純損失は、青色申告を行っている場合に限り、確定損失申告をすることによって翌年以降3年間繰り越すことができます。

2.雑損失の繰越控除

所得から控除できるものの内、災害や盗難などによって生活に必要な資産に損害を受けた場合の損失を控除できる「雑損控除」というものがあります。

雑損控除の結果、所得金額から引ききれない損失の金額(雑損失といいます)がある場合には確定損失申告をすることにより翌年以降3年間繰り越すことができます。

3.純損失の繰り戻し還付

青色申告者については、①の純損失の金額を翌年以降に繰り越すのではなく、前年に繰り戻して還付を受けることができます。

例えば、今年度の純損失の金額が▲100、前年度の純利益の金額が50の場合には、▲100を50と相殺して▲50の還付を今年度に受けることができます。

なお、純損失の金額の内一部を前年に繰り戻し、残額を翌年以降に繰り越すこともできます。

まとめ

「今年は赤字だから確定申告は必要ないだろう・・」と思って確定申告をしなければ、翌年以降税金を減らすチャンスを逃したり、繰り戻し還付を受けるチャンスを逃してしまうかもしれません。

黒字、赤字にかかわらずフリーランスの方は確定申告の準備をしておいた方が無難でしょう。