役員給与(事前確定届出給与)を複数人届け出ていて、一部の人に払わなかった場合

Last Updated on 2021年9月7日

役員のボーナス的な意味合いのある「事前確定届出給与」。

複数人の役員の届出をして、

一部の人に支払って、一部の人に支払わなかった場合には全額損金にできないのでしょうか?

 

  • 事前確定届出給与は役員ごとに行う
  • 届出して支払わない役員がいても、届出どおりに支払った役員分については損金にできる

役員給与全般の記事についてはこちらの記事に書いています:

役員給与を経費にするためには。ルールを知って上手く活用しましょう

 

事前確定届出給与とは

事前確定届出給与とは、事前に税務署に、

「この人に、この日に、この金額を支払います!」

と届出て支払う給与です。

役員のボーナス的なものですね。

役員のボーナスは、お手盛りを防ぐために、

事前に税務署に届出て、そのとおりに支払わなければ損金(法人税法上の経費)にできないというルールがあります。

しかも、期限(株主総会の決議の日から1ヶ月(遅くとも事業年度開始から4ヶ月))があります。

届出た内容と少しでも違っていたら損金にできない、という結構厳しいルールです。

 

複数人届出て、一部の人に支払わなかった場合

それでは、事前確定届出給与を複数の役員分届出て、一部の人には支払い、一部の人に支払わなかった場合

「届出た内容どおりに支払わなかった」

と全額損金にできないのでしょうか。

結論は、届出どおりに支払った役員分は損金にできます。

理由は、「届出た人ごと」に判断するからです。

事前確定届出給与は「付表」という各人ごとの支払額などの情報が書かれた書類を添付します。

No.という欄があるように、役員ボーナスを支払う人数分を作成します。

このように、人ごとに届出を管理しているので一部の人に支払わなかったとしても

その他の人の分も損金にならないことはありません。

「今年はボーナスの額を減らして支払おう」

は損金として認められませんが、

「今年は社長だけボーナスを(届出どおりに)支払おう」

ということは可能です。

 

まとめ

何かと厳しいルールの事前確定届出給与ですが、

うまく使ってインセンティブ・節税に活かしたいですね。