スモールビジネスを始めたら。経理の基本(集める⇒記録する)をルーティン化しよう

Last Updated on 2021年7月27日

会社に勤めながら副業をしている方、

あるいは会社を辞めて、個人で小さく事業を始めた方。

事業を始めたら営業、マーケティングなどのフロント業務に忙しくて

経理まで手が回らない人が多いのではないでしょうか。

ただ、経理をしないと後々困ることは周知のとおりです。

(確定申告時期にあたふたすることに)

経理の基本は、集める⇒記録するの2ステップです。

これさえできていれば確定申告時期に慌てることはありません。

本日は、個人で事業を行う人が抑えるべき経理の基本(集める・記録する)を説明します。

 

経理の目的

経理の仕組み化を進めるにあたって、経理の目的を再確認しましょう。

経理の目的は、大きく分けて次の3つです。

  1. 日々のオペレーション(売上を請求する・経費を支払う等)のため(*)
  2. 税務署や銀行に提出する書類(決算書・申告書等)を作るため
  3. 自身が数値を分析し、事業に役立てるため

最終的には3.まで行ってこそ経理の成果が現れるのですが、開業したてはひとまず

1、2を意識して経理の基本を押さえましょう。

(*)通常これらの日々のオペレーションを含め「経理」と呼びます。

ここではその準備段階としての「集める⇒記録する」作業を説明します。

 

経理の基本

経理を行うのに、基本となる作業は以下の2つです。

  1. (領収書等の書類を)集める
  2. (帳簿等に)記録する

集める⇒記録する

この手順を説明します。

「集める」

まずは経理に必要な書類を集めることが必要になります。

なにを集めるのか?

経理を行うために必要な書類とは、

日々の事業活動を証明するもので、以下のものを指します。

  • 銀行の通帳
  • 領収書
  • 請求書
  • クレジットカード明細
  • 電子マネー利用明細
  • その他、契約書など数字に関わる重要な書類

 

まずは経理にはこのような「数字に関わる」書類が必要になるということだけ覚えておきましょう。

 

どうやって集めるのか?

以上に挙げた書類は、大きく分けて次の集め方があります。

①アナログ(紙)で集める

アナログ(=紙)で集める方法です。

例えば銀行の通帳であれば、ネットバンキングに申し込んでいない人であれば

紙の通帳しかないと思うので、事業で使っている紙の通帳を集めます。

領収書、請求書等も紙で受け取った・紙で発行したものは紙の状態で集めます。

 

②電子データで集める

電子データ(PDF等)で集める方法です。

例えば銀行の通帳はインターネットバンキングに申し込んでいればCSVのデータ取得が可能となるので、

事業で使っている銀行のデータを銀行のサイトから入手します。

また、電子データ(PDF等)で領収書、請求書等を受け取っている・発行している(ネットショッピング利用、決済代行会社利用等)

場合は、そのサイトから電子データを入手します。

 

「記録する」

書類を集めたら、帳簿(事業の取引を記録するためのノートのようなもの)に記録しましょう。

どうやって記録するのか?

帳簿に記録する方法ですが、大きく分けて以下の2つがあります。

  • 会計ソフトを使う方法

事業所得の申告には青色(10万又は65万の特別控除等、優遇制度あり)・白色の2通りがあるのですが、

青色申告をする場合には基本的に会計ソフトを使って記録する必要があります

 

  • 会計ソフトを使わない方法(ノート、Excel等で記録)

事業所得のうち白色で良いという方、雑所得(会社員の副業等)の方

会計ソフトは使わないでノートやExcel等で記録すれば十分です。

 

なにを記録するのか?

帳簿には、以下の情報を記録します。

  • 取引の発生日
  • 取引の金額
  • 取引の内容(取引先・取引の詳細等)

会計ソフトを利用する場合には、発生日、内容に合った勘定科目(「売上」「仕入」など)、金額は必須項目となるので手順に従って入力すれば問題ありません。

例えば、次はfreeeの取引登録画面です。

会計ソフトを利用しない場合にはExcel等に上記の3つを時系列に記録していきます。

例えば、国税庁からだされている白色申告の帳簿の例は以下のとおりです。

(集計しづらい表なので、Excelで作る場合にはあとから集計しやすいようアレンジすると良いでしょう。)

引用:個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存について|国税庁

帳簿の記帳のしかた(事業所得者用)(PDF/2,337KB)

 

いつ記録するのか?

集めた書類を「いつ」帳簿に記録するか?ですが、

不定期ではなく、「定期的」に行うことがお勧めです。

経理はルーティン化させ、機械的に行ってしまうことが一番効率的だからです。

毎日、1週間ごと、1ヶ月ごと

などの方法がありますが、私がお勧めするのが、ずばり

「毎日」

です。

人の記憶というのは曖昧で、昨日食べたものすら意外と思い出せないものです。(私の場合)

経理の場合も同じで、時間がたてばたつほど思い出しづらくなり、思い出す時間が無駄になってしまいます。

「毎日」で、しかも時間を決めてしまいましょう。

例えば「その日の夜」「翌日の朝」などがおすすめです。

記録が毎日できていれば、

  • 日々のオペレーション(売上を請求する・経費を支払う等)を行う
  • 税務署や銀行に提出する書類(決算書・申告書等)を作る

の2つの作業量を大幅に短縮することができます。

 

集めて、記録するために必要なもの

書類を集めて、定期的に記録するために必要なものを説明します。

 

書類を保管するもの

集めた書類を一時的・長期的に保管するものを用意しましょう。

アナログ(紙)で集める書類の場合

一時的な保管場所として、「箱」(トレーやバスケットなど、気に入ったものでOK!)を用意しましょう。

財布の中に溜まっていると訳わからなくなってしまうので、

毎日財布の中はきれいにし、事業に使った分の領収書を一時保存の箱に入れましょう。

その他、まだ処理が済んでいない請求書なども入れておきます。

 

帳簿に記録して、処理が済んだ領収書・請求書等は長期的に保管するための封筒・ファイル等に保管します。

保存方法ですが、整然としていれば特に決まりはありません。

きれいにノートに貼っていったほうがわかりやすいということであればそちらでも良いですし、

月ごとに封筒に分けて入れていくという方法でも構いません。

大切なのは、後から自分が見てすぐに取り出せるようにしておくということです。

(後々調査やお尋ねがあったときのためでもあります)

 

電子データで集める書類の場合

電子データ(PDF等)で集める場合にも、アナログの方法と同じように

PC又は外部サーバに「一時的な保存フォルダ」「長期的な保存フォルダ」

などを作って保存していきます。

電子データで保存する場合も整然と保存(あとで検索できる等)する必要があります。

 

記録するもの

青色申告を行う人であれば、「記録する」のに会計ソフトが基本必要になります。

買い切りのソフト、クラウド型のソフトなど色々あるので

口コミなど参考に選ぶと良いでしょう。

簿記の知識があまりない・ネットでの取引が多いという方は

経理初心者向け・外部データの同期が可能なクラウド会計ソフトがお勧めです。

特に銀行、クレジットカード等の金融機関と連携できる機能は

経理業務を大幅に効率アップさせてくれるはずです。

 

事業所得(白色申告)・雑所得の人であれば、

Excelがお勧めです。

後から集計しやすいように、1セルに1データ(セル結合などを使わない)として整然と記録しましょう。

 

まとめ

スモールビジネスを始めた方向けに、経理の基本(集める⇒記録する)を説明しました。

経理の最終目的は、戦略的に数値を利用できることでもあります。

そのために必要な日々の作業(集める⇒記録する)は、なるべくルーティン化させて楽に済ませましょう。