海外に売り上げた場合の消費税の考え方

海外との取引で、「消費税を請求して良いのか?」と迷われる方も多いのではないでしょうか。

「海外だから消費税はかからない」という考えは概ね合っているのですが、稀に海外向けの売上でも消費税が課されるものもあります。

どういったプロセスで「海外取引は消費税がかからない」と判定されるのか。

そして、海外売上に対する国内で支払った消費税の取り扱いはどうなるのか。

今日はこの2つを図解で説明したいと思います。

海外取引に係る消費税の可否判定

海外取引があった場合に消費税を併せて請求すべきか。

これを考えるにはまずその取引が「消費税の課税対象であるか」を確認します。

消費税の課税対象とは?

消費税の課税対象となるためには下記の要件が必要となります。

  1. 国内における取引であること←日本で行われる取引であること
  2. 事業者が事業として行うこと←プライベート活動でないこと
  3. 対価を得て行うこと←お金をもらって行うこと
  4. 資産の譲渡、資産の貸付けまたは役務の提供であること←商品の売買、貸付け、サービス提供であること

このうち、①以外は事業を行う前提とも言えるものなので、今回は考慮外とします。

まずは「国内における取引であること」が消費税の課税対象となるかのポイントとなります。

海外取引が合った場合の消費税の可否判定

上記を踏まえ、フローチャートで海外取引があった場合の消費税の可否判定を下記のとおり考えることができます。

 

上記の通り、「海外取引は消費税がかからない」という意味は実際のところ、

  1. 国外取引であるため、消費税の課税対象外
  2. 国内取引で消費税の課税対象であるが、輸出免税取引に該当するため消費税が免除される

の2つのケース(上記の図の青部分)があります。

(なお、非課税取引(利息、有価証券取引など)は非常に限られているので説明は省きます。)

要件1:国内で行われた取引に該当するか?

<資産の譲渡又は貸付の場合>

譲渡・貸付け時点においてその資産が所在していた場所が国内にあるかどうかにより判定します。

例えば、たとえ国内の企業間で行われた取引でも、その資産の販売時の所在地が国外であれば、国外取引となり消費税は課税対象外となります。

なおロイヤリティなどの無形資産のように、所在地を特定できないものについては

  • 権利の登録をした機関の所在地
  • 権利の譲渡又は貸付を行う者の所在地

が国内にあるかで判定します。

<役務の提供の場合>

役務の提供が行われた場所が国内であるかどうかにより判定します。

なお役務の提供が行われた場所が明らかでないものは、

  • 役務の提供を行う者の役務の提供に係る事務所等の所在地

が国内にあるかで判定します。

 

ここまでで、国内で行われた取引でない「国外取引」に該当すれば、消費税は「対象外」となり次の「輸出免税に該当するか」の検討は必要なくなります。

要件2:輸出免税取引に該当するか?

消費税の課税対象となる取引について、次に、輸出免税取引に該当するかを検討します。

輸出免税取引は、範囲は割と広めです。大きなもので3つあります。

  1. 本邦からの輸出として行われる資産の譲渡
  2. 非居住者(外国企業等が該当)に対する無形資産の譲渡又は貸付け
  3. 非居住者に対する一定の役務の提供

①はいわゆる輸出取引で、分かりやすいですね。

②と③は、海外企業等に対する無形資産の譲渡又は貸付け、一定のサービス提供が該当します。

なお、日本国内にある海外企業の日本支店は輸出免税取引における非居住者に該当しないので、日本支店を通じて海外企業に販売している場合には輸出免税取引に該当しません。

非居住者に対するサービス提供はすべて免税なのか?というと以下の例外もあります。

  • 国内に所在する資産に係る運送又は保管
  • 国内における飲食又は宿泊
  • 上記に準ずるもので国内において直接便益を享受するもの

例えば海外企業の従業員に対する国内で行う現場改善等のセミナー料は輸出免税にはなりません。

非居住者に対するサービスでも、それが国内にて便益を享受するものであれば通常の課税取引になります。

 

上記の①〜③の輸出免税取引に該当しなければ通常の課税取引となり消費税を併せて請求することになります。

一方、輸出免税取引に該当する場合には、

「消費税がかからない」という意味では要件1で除外された課税対象外と同様となります。

ただ、輸出免税取引は「本来消費税が課される取引だけれども、免除される」点が課税対象外取引と異なり、納付税額にも影響を及ぼすため注意が必要です。

輸出免税に対応する支払った消費税額の控除

消費税の納付税額の計算は、基本は預かった消費税 - 支払った消費税

これまでに、海外取引があった場合の消費税の可否判定(請求する側)を見てきました。

それでは、輸出免税取引があった場合には消費税の納付税額に影響はあるのでしょうか。

納付する消費税は、基本は預かった消費税(売上に対する消費税)から支払った消費税(仕入れに対する消費税)を差し引いて計算します。

通常の国内における課税取引を例にしてみます。

売上100円に対して消費税8円を預かり、その売上に対する仕入れが50円、消費税が4円かかったとします。

取引がこれだけであれば納める税金は預かった消費税8円 – 支払った消費税4円=4円なります。

輸出免税取引の場合には預かった消費税がゼロ

一方輸出免税取引は消費税が課される取引であるけれども、預かる消費税が免除されます。

従って預かった消費税は0であるにも関わらず支払った消費税は差し引けることになります。

輸出取引だけ行なっている企業が消費税の納付ではなく還付となるのはこのためです。

一方、同じく消費税がかからない国外取引(課税対象外)の場合には、対応する国内で支払った消費税は基本的には全額控除できません。(※全額控除できる例外はあります)

同じ「消費税がかからない」取引でも、「国外取引(課税対象外)」と、「輸出免税取引」は納付税額を計算する上で全く性質の異なるものです。

海外取引を行う企業・個人は売上の内訳を常に把握しこの2つを明確に区分して経理することが大事です。

まとめ

海外に売り上げた場合の消費税額について、

  1. どういったプロセスで「海外取引は消費税がかからない」と判定されるのか。
  2. 海外売上に対する国内で支払った消費税の取り扱いはどうなるのか。

をまとめました。

消費税がかからない海外取引を大きく分類すると「国外取引(課税対象外)」と「輸出免税取引」に分けられます。

両者は納付税額を正確に計算するためには区分が必要ですので、気をつけましょう。


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