Last Updated on 2022年11月11日
freeeで優良電子帳簿の保存が可能に
2022年11月4日より、クラウド会計freeeの全プランで優良電子帳簿の保存が可能となりました。
新年度から適用すれば、帳簿の電子保存&特典を受けることができます。
本記事では、優良電子帳簿の解説と、freeeで優良電子帳簿保存を始める方法、注意点を解説します。
- 優良電子帳簿とは
- freeeで優良電子帳簿の保存を始めるには
- 優良電子帳簿保存の注意点
優良電子帳簿とは
優良電子帳簿とは、電子帳簿保存法で電子保存が認められる
帳簿のうち、一定の要件を満たした帳簿のことを指します。
優良電子帳簿として保存した場合、過少申告加算税(過少に申告をしてしまったときに課される税金)を、10%から5%に軽減することができます。
一定の要件とは、以下のとおりです。
- システムのマニュアル等を備え付けていること
- 見読可能性を確保していること
- 税務調査時にデータダウンロードに応じること
- データの訂正・削除・追加を確認できるシステムを利用していること
- 帳簿間での記録事項の相互関連性を確保していること
- 検索機能を確保していること
上記の赤字部分は、優良帳簿特有の要件で、
これまでfreeeにはその機能がありませんでした。
しかし2022年11月にこれらの機能を確保したことで、
freeeで作成した帳簿は優良電子帳簿として認められ、電子保存可&特典を受けられることになりました。
優良電子帳簿の保存を始めるには
社内規程を準備する
優良電子帳簿の要件として、
社内のワークフローを明らかにした書類(社内規程)が必要です。
- 帳簿データの訂正、削除、追加の処理手順
- 入出力の日程及び担当部署
- 帳簿データの保存等の手順及び担当部署
などを定めます。
国税庁のHPにもテンプレートがありますし、
freeeにもテンプレート(ログイン時に表示される2022年11月4日のお知らせを見ればDLできます)
があるので、カスタマイズして作成することをお勧めします。
優良電子帳簿の届出をする
優良電子帳簿の保存を始めるには、届出書を税務署へ提出しなければなりません。
ちょっと長い手続名ですが、以下のページにある届出書を管轄の税務署へ提出します。
[手続名]国税関係帳簿の電磁的記録等による保存等に係る過少申告加算税の特例の適用を受ける旨の届出|国税庁
記載例もあるので参考にすると良いでしょう。
なお、提出期限は適用を受けようとする事業年度の法定申告期限までなので、
事業年度が始まってからでも大丈夫です。
例えば、3月決算の会社が、2023年4月1日~2024年3月31日の事業年度
から適用したい場合には、
法定申告期限である2024年5月31日までに提出すれば良いことになります。
freeeの優良電子帳簿機能をONにする
freeeの事業所の設定画面で、
仕訳関連設定で仕訳番号形式(数字か英数字を選べます)を設定し、
優良電子帳簿機能を「使用する」に変更します。
試しに仕訳を登録してみると、仕訳帳に「仕訳番号」がきちんと付されていました。
更新、削除もしてみました。
すると、
メニュー→設定→優良電子帳簿に伴う操作履歴にて、
更新、削除の履歴も確認できるようになっていました。
固定資産台帳も、登録をすると履歴が残るようになっています。
これで、優良電子帳簿の保存要件を満たしていることを確認できました。
優良電子帳簿保存の注意点
事業年度の途中から優良電子帳簿に切り替えはできない
優良電子帳簿の保存は、事業年度の途中からはできません。
年度の途中でfreeeの優良電子帳簿の機能を有効化しても、
要件を満たすのは翌年度からとなります。
(とはいえ新年度に切り替えをうっかり忘れないためにも、今からONにしておいても問題ないでしょう)
すべての国税関係帳簿について要件を満たさなければ適用できない
この優良電子帳簿の制度は、
会社が作成しているすべての「国税関係帳簿」について要件を満たさなければ適用できません。
「国税関係帳簿」とは、個人や法人が作成する義務がある帳簿のことです。
例えば、青色申告をしている法人の場合には以下のとおり細かく定められています。
出典:法人税法施行規則 別表二十一 青色申告書の提出の承認を受けようとする法人の帳簿の記載事項
freeeが対応しているのはこのうち
総勘定元帳、仕訳帳、固定資産台帳です。
(売掛帳、買掛帳等の補助元帳に関してはレポートで対応しています)
これ以外に別システムで作成している国税関係帳簿がある場合には、
それらもすべて優良電子帳簿の要件を満たさなければ、適用の届出はできないので、ご注意ください。
まとめ
freeeが全プランに優良電子帳簿の対応を開始しましたので、
手続きと注意点を解説しました。
freeeを利用されている方は、
帳簿の電子保存もでき、いざというときの税金が軽減される特典もつきますので
次年度から是非検討してみていただければと思います。