Last Updated on 2021年7月20日
海外の会社から送られてきた
インターネットサービス(電子書籍、ビデオ会議、ストレージサービス等)の請求書に、
消費税(VAT(Value Added Tax)と表記されていることが多いです)が表示されており、
税区分の処理をどうしようか
迷っているフリーランス・会社もいるかと思います。
そこで、海外の会社からの請求に消費税が表示されていた場合の処理を解説します。
注:本記事では、事業者向けのインターネットサービス(広告の配信サービス等)については触れません。
海外のネット広告会社に支払う消費税については下記をご参照ください。
目次
なぜ海外からの請求なのに消費税がかかるの?
そもそも海外からの請求なのになぜ消費税がかかるのか。
これは、平成27年に行われた消費税改正が影響しています。
改正が行われる以前まで、国境を超えるインターネットサービスは
日本で消費税は課されていませんでした。
「サービスの提供が行われた場所」が海外で、消費税の対象外となっていたからです。
しかし日本の会社との公平性等を考慮して、これらのインターネットサービスに関しては
「サービスの提供を受ける場所」
が日本国内であれば、日本で消費税が課されることとなりました。
例えば電子書籍は販売元がAmazon.com Salesなど海外の企業であっても、サービス提供を受けるのは
日本の消費者なので、Amazon.com Salesは日本で消費税を納める義務があります。
この改正によってAmazon.com Sales、Amazon Services International、Dropbox、Zoomなど多くの外国企業が日本で消費税を納めることになりました。
海外の会社からの請求書に消費税が多くみられるようになったのはこのような経緯からです。
海外からの請求書に消費税が表示されていた場合の処理
海外からの請求書に消費税が表示されているケースは、
消費者向け(事業者に限定されないもの)の国境を超えるインターネットサービスの場合です。
例えば、以下のものが該当します。
- 主に消費者を対象とした電子書籍・音楽・映像の配信等
- ホームページ等で提供するサービスで、その申込みを事業者だけに制限できないもの
上記意外にも、事業者に限定されないネットサービスがすべて含まれますので、範囲が広いです。
請求がきたら、以下の2とおりで処理します。
- 登録国外事業者名簿に会社名が記載されていた場合→「課税仕入れ」で処理する(=消費税を認識する)
- 登録国外事業者名簿に会社名が記載されていない場合→「対象外」で処理する(=消費税を認識しない)
「登録国外事業者名簿」は、国税庁が公表している名簿です。
この名簿に載っている会社への支払いは、「消費税の計算上、支払った消費税を預かった消費税から差し引いて良い」とされています。
したがって、名簿に載っている会社への支払いは消費税区分を「課税仕入れ」で処理します。
ビジネスで使うことの多いZoom、Dropboxはいずれも登録国外事業者名簿に記載がありますので、
消費税が記載された請求書がきたら「課税仕入れ」で処理しましょう。
しかし中には消費税が請求に上乗せされているのに、名簿に記載されていない会社もあります。
国外事業者への登録が済んでいないなどの理由が考えられます。
この場合「課税仕入れ」にすることはできませんので、消費税含め「対象外」で処理することになります。
海外からのネットサービスの請求書に消費税が記載されていた場合には、
登録国外事業者名簿を一度は確認するようにしましょう。
まとめ
海外からのネットサービスの請求書に消費税が表示されていた場合の
処理方法を説明しました。
参考になれば幸いです。