Last Updated on 2023年4月17日
2023年10月に、消費税の大きな改正が行われます。
それが、「インボイス制度」です。
インボイス制度とは、消費税の計算に「インボイス」(適格請求書)が
必要となる制度です。
詳しくは、以下の記事で書きました。
上記の記事は主に免税事業者への影響を書いたのですが、
今回は事務負担の観点から
「インボイス制度は、電子化の良いチャンス」
であることを書きます。
目次
インボイス制度が始まると、事務負担が増える
インボイス制度が始まると、経理の事務負担が増えます。
インボイス対応のためのコスト
インボイス発行事業者に登録した場合には、「登録番号」を記載した請求書等を発行する必要があります。
Excelなどで作成し、郵送していた場合にはフォーマットを変更する必要があるでしょう。
クラウドソフトのように常にアップデートされるソフト以外のソフトを利用している場合には、
買い替えをしなければならない可能性もあります。
経理の負担
販売側が登録事業者であるか・ないかを
請求書等の登録番号や国税庁のHPを確認して仕訳する必要があります。
免税事業者からの仕入れの場合には、
経過措置(段階的に仕入れ税額を逓減させる措置)も考慮しなければなりません。
ただでさえ2020年から始まった軽減税率、区分記載請求書等保存方式
で負担が増えた中小企業にとってこれは大きな負担です。
政府と民間企業が開発を進めている「電子インボイス」
そこで、インボイス制度の負担を軽減させるべく浮上した案が「電子インボイス」です。
2021年4月現在、政府と複数の会社が設立した「一般社団法人コンピュータソフトウェア協会」によって、
電子インボイスの標準規格の作成が進められています。
(参加企業はERP、会計ソフト会社等10社です)
電子インボイスとは、インボイスを紙ではなくデータで提供する仕組みです。
既に欧州、米国、カナダ、オーストラリア、シンガポールなど31カ国に採用実績があるとのことです。
2020年12月には電子インボイスの標準仕様の国際規格「Peppol(ペポル)」に準拠した
日本標準仕様の策定を決定したということでプレスリリースが出されました。
2021年6月を目処に国内標準仕様の公開を目指すとのことです。
電子インボイスの普及に向けて 一般社団法人こコンピュータソフトウェア協会
インボイスの標準仕様がどうなるのか、
会計ソフトにどのように取り込むことができるのか、
詳細は明らかではありませんが、
政府が後押ししていることを考えると、
インボイス制度は
データで取引する「電子インボイス」を前提としたものになる可能性もあるでしょう。
電子帳簿保存法の相次ぐ改正
電子インボイスが前提になる理由として、
近年相次いで改正されている電子帳簿保存法が挙げられます。
特に、最初から紙を使わない「電子取引」の改正が近年何度も行われています。来たるインボイス制度を意識しているのでは、と感じられます。
国税庁が公表している「電子帳簿保存法一問一答」でも、
「電子取引」を行った場合に仕入税額控除の適用を受けるためには、軽減税率の対象品目である旨や税率ごとの合計した対価の額など適格請求書等として必要な事項を満たすデータ(電子インボイス)の保存が必要となります。
と電子インボイスに触れられています。
インボイス制度は、電子化の良いチャンス
ここで言いたいのは、
インボイス制度を電子化の良いチャンスと捉えるのはどうか、ということです。
特に人が足りない中小企業こそ、
電子インボイス導入は有効と考えています。
コストがかかるのでは、
という懸念もありますが
国をあげて標準仕様の策定が進められる中、
大企業にしか導入できないシステムは想定しにくいです。
(現に、先ほど書いた「一般社団法人コンピュータソフトウェア協会」には、中小企業がメインに使う「弥生」「MJS」「マネーフォワード」がメンバーに加わっています)
また、インボイス導入直前になって急に電子化はできないので、
今からできるところは電子化しておくことが大事と考えます。
例えば、請求書をデータで送る・契約書を電子契約に切り替えるなどです。
取引先次第とはいえますが、コロナの流行で世の中はデジタル化が当たり前になっています。
中小企業もデジタル化をしやすくなっていると言えます。これをチャンスと捉えるのもありでしょう。
まとめ
2023年10月から始まるインボイス制度は、電子化の良いチャンス
ということを書きました。